■黎明新報特別版 『幻想水滸伝5の謎に迫る!』
 第五回キャラ考察2-1・マルスカールの理想と、ギゼルとサイアリーズの真意。
 
 人は、『正しい行動』をとることはなかなかできない。
 それが『正しい』と絶対の自信を持って、その場で判断されることはほとんどないからだ。
 それが正しかったかどうか、判断できるようになるのは、その行動をとってかなりの時間が経過してからだ。
 お年寄りに席を譲るとか、そーいうことじゃなくてね。
 
 逆に、『間違っていること』は多い。
 『それ』をその時選んだとしても、後で『もっといい方法があったのではないか』と思ってしまうからだ。
 本当に、『もっといい方法』があったかどうかはさておき。
 ただ、『間違っていること』は悪いことだろうか?
  『間違っている』とわかっていても、その時にはやらなければならないということがある。


 
 ギゼルとサイアリーズ。
 彼らのとった行動については各所にフォローを入れられているが、それでも納得できなかったヒトは多い。
 そこを今回は考えてみようと思う。
 
 
 人は、自分の納得出来る『答え』を求める。
 叔母上の行動の理由がなんとなーくわかっていても納得できないという人は、その『理由』に同調できないからであろう。
 だが、実際に納得させてくれる答えが出ることは、ほとんどないのだ。
 ドラマの殺人事件のように、犯人に同情の余地があることは現実では滅多にない。

 『あいつは・・・俺の父の仇だったんだ!』
 なぁんて言って、殺人を犯す人ってニュースに出ないでしょう?
 現実には、もっと理不尽な理由で犯罪は行われるものさ。
 そーいうのも考えつつ、叔母上の行動を見ると、もーすこし理解できないかね?
 ・・・・できない?



 さてさて。
 先に答えを出してしまえば、(ゲーム中で答えは出ているんだが)叔母上たちのあの行動の理由は以下になる。

 
マルスカール=ファレナを強く豊かな国にする

 
サイアリーズ=ゴドウィンを倒した後の世のため、王子&リムの鎖となりそうな貴族を始末する

 ギゼルは、また後で。


 メインに考えるのはギゼルとサイアリーズだが、マルスカールについて先に語ってしまおう。
 マルスカールの望みは、
『富国強兵』
 ファレナを強くすることが、同時にファレナを守り豊かにすることだと信じている。
 その裏に、11年前の先々代の王位継承争いでの悲劇、8年前のアーメス侵攻への複雑な思いがあるであろうことは否めん。
 己の欲しかないサルムと比べれば、随分とまともである。
 が、問題はそのためにとった強硬手段である。
 恐らくは。
 マルスカールは11年前の先々代の継承争いですでに『ファレナはこのままではいけない』と思っているだろう。
 その3年後のアーメス侵攻で、かつて争った貴族とも一致団結してこれを防いでいても。
 女王は最高権力者でありながらも、貴族の意見を無視することが出来ない。
 それが内乱前のファレナの状態。

 賢王とされるアルシュタートですら、強硬なことはできない。
 闘技奴隷の待遇改善のアレみたいにね。
 女王ならば、気に入らないなら闘技奴隷の制度そのものを廃止してしまえばいい。
 でもそれが出来なかったのは、反対する貴族の意見を無視できなかったから。
 つまりは。
 現在のファレナの問題は『貴族が力を持ちすぎた』ことにある。
 マルスカールの欲しかったモノ。
 それは
『絶対の権力者』であったように思う。
 貴族の顔色を伺うことなく、独断で権力を振るう王。
 ある意味、先々代女王・ファルズラームがコレに近いんだが、彼女はその権力を己の保身と欲のために使っているので、マルスカールの理想とはちょっと違う。
 マルスカールが望むのは、『ファレナを守るために権力を振るう王』だから。


 ちなみにコレ。
 ザハークとアレニアの求めるモノでもある。
 アレニアは思想がゴドウィンに近い。
 『太陽の紋章の力を使い、従わぬ者には相応の処罰を』
 ザハークは女王騎士の控え室にて、『女王に言いたいことがあれば、俺が代わりに進言してやってもいい』というフェリドに対し、意を唱えている。
 アレニア・ザハークはその権力者が『ゴドウィン』であってもイイと思ってそうだけど。


 しかし、ゴドウィンは女王に成り代わる気はなく、セリフから判断するに・・・『地盤作り』をしてようとしていたように思える。
 『今の世の人間に恨まれようとも、後の世の人間のために成さねばならぬことがある』というアレ。
 明治維新の志士たちの思考であるな。
 マルスカールは、ファレナの古い体制を変えようとしたのである。
 では、変えようとしたのは、何か。


 ■元老院の権力。
 二大勢力であるバロウズとゴドウィン。
 この二つが力を持ちすぎたために。そして影響力が強くなりすぎたために、女王の力は弱くなってしまった。
 が、ココでこの二大勢力が互いの意見を戦わせるだけなら、もーすこし話は(ある意味)ラクになるのだが、ここに仲を取り持つ貴族がいたから、硬直状態となっていまった。
 この貴族が、ロードレイク領主・ロヴェレ。
 ロヴェレがいたからこそ、均衡が保たれていたともいえるが、その間バロウズ・ゴドウィンが己の主張を変えたわけではない。
 つまり、ロヴェレがしていたことは均衡を保つ
だけ
 元老と女王の間に立つ歯止めになってはいたが、なんの解決にも繋がらない時間稼ぎに過ぎなかったのである。
 そしてゴドウィン・バロウズ・両者から見ると、ロヴェレは邪魔な存在にしかならない。
 バロウズ・ゴドウィンが意見を直接戦わせば、勝つにしろ負けるにしろ、結果が出るからだ。
 己が負けた結果として、穏健策・強攻策、どちらかがとられたなら一応の納得も出来ようというもの。
 それが、勝負すら出来ないのであれば不満も募る。
 サルムが業を煮やした故の決断が、暴挙ともいえる『黎明の紋章』の強奪だったのかもしれない。

 そのことまで知っていたとは思えないが、何かしらの理由をつけて、マルスカールはサルムを失脚させるつもりだったと思える。
 いや。
 あの夜、王子とサイアリーズを逃がしてしまったことを失敗だったとは言ったが、それも策のうちに入れていなかっただろうか。
 なぜなら、ゴドウィンに城を奪われた王子の頼る先は、バロウズしかないから。
 この機に、バロウズが押され気味だった権力を盛り返そうと狙わないハズはない。
 そしてゴドウィンは、挑発するように兵をバロウズ領に送り込む。
 これは本当に必要最小限でいい。
 強さも、農村で徴兵したばっかの若造レベルでいい。
 ・・・王子の初戦だから、ワザと弱い兵を送り込んだというワケではない。
 元々、『討たせるための兵』だからだ。
 使える兵は温存しておく。
 ごく少数であろうと、兵は兵。これをバロウズが討たないハズはない。
 そして『フェレナの兵』を討たせることで、バロウズと王子を『反逆者』にすることが出来る。
 王子とバロウズ、両方を潰す言い訳が立つというワケだ。
 言い訳を作らねばならないあたりが、この時点のゴドウィンの権力の限界。


 ■ラフトフリートの自治権返上
 ファレナの重要な交通手段である、フェイタス河。
 当然、この河も女王の管轄下である・・・のに、そこを使うモノが自治権を持っていると、いうのはマルスカールから見てあまりよろしくない。
 さて、この『自治』。
 意味は1.自分で自分の問題を処置すること。2.自主的に行政を行うこと。
 つまりは国と市町村、みたいな関係なんだが、もーちょっとラフトフリートには権利がありそうだ。
 しかし問題はラフトフリートがフェイタス河を自由に行き来することが出来ること。
 大袈裟に言うと、日本の公道に外国の行商トラックが走っているようなモノ。
 「日本では左通行なんだよっ!」とか言っても、「ワタシノクニデハ右走行デース」みたいな。
 ・・・流石に、そこまで無法なことはしないだろうが。
 国の公道(公河?)を使用する者が、自分で起こした問題を勝手に自分で解決されれてしまうのも困る。
 そして別な意味でよろしくないのは・・・ラフトフリートを纏めているのが、ファレナの元水軍提督・ラージャであること。
 ラージャにその意思がないとしても、いらぬ勘繰りの対象にはなるな。
 国土を東西南北に走るフェイタス河を知り尽くしたラフトフリートというのは、脅威でもあり絶対に欲しい貴重な戦力でもある。
 国力増強を図りたいマルスカールとしては、欲しかっただろうね。


 ■ビーバー&ドワーフの滅亡。
 元々、マルスカールはこのふたつの種族についてはあまりよく思っていなかったらしい。
 『人間以外の種族はいらない』とか、ある意味人種差別にも置き換えることが出来て、それまで『ファレナの礎を築くために我らは起ったのだぞ』とか言って、「なになに?この人たち、何を考えてこんなことしてるの?何か理由があるの?」とか少し同情気味だったプレイヤーにも、ここから「ふざけんなハゲ!!」と言われるようになった。(と、思う)


 しかし、昔の歴史から見れば、こーいう考えは珍しいことじゃない。
 日本も、鎖国してたしな。
 人は、自分と同じモノに安堵し、違うものに恐怖するという。
 ・・・あまり歴史の話を織り込むと、頭のイイ人から突っ込みがきそうだが・・・。
 っていうか、幻水5はCERO12なんだから、プレイヤーのほとんどはこんな歴史の話知ってるよなぁ?とか思うが、あえて復習の意味も込めて書いてしまおう。
 日本がキリスト教を認めなかったのは、国民に同じ宗教を信仰させ、同じ思想を持たせようとするためだったとか。
 で、日本が国民に信仰させようとしたのは仏教でしょ?というとそれだけじゃなく、『天皇』を現人神として崇めさせていたわけだ。
 幕府は自分からこの天皇を神として敬うことで、国民にも信仰させ、従わせていたのだね。
 歴史の勉強終わり。


 もしかすると、なんだが。
 ゴドウィンもコレに近いことをやろうとしていたのではないかと思うのだ。
 つまり、己は女王の臣下であるという立場は崩さない。
 女王を絶対のモノとして服従している様を国民に見せ、そーすることで国民を従わせる。
  『お前ら(国民)より上の立場のワシでさえ逆らえない女王に、逆らえると思ってんのかぁ!?』って。
 国民は、ゴドウィンは女王の忠実な臣下であると思い、そしてゴドウィンは女王の代弁者となって命を下す。
 ・・・実際、命令を決めているのはゴドウィン。
 国民はそれを、女王の命令だと思って従う。
 女王と国民の間にワンクッション置く事で、女王の考えは国民に伝わらず、国民の意見は女王に届かない。
 フェリドは自分が女王への橋渡しとして意見を伝えてもいいと言ったが、コレは間逆だな。
 ザハークの考えはまさにコレで、『国王に意見するモノなどあってはならない』。
 言い換えれば、『国王の命令には黙ってしたがっとけばいいんじゃボケェ!!』ということか。


 む。話が逸れて来たか?
 ビーバーとドワーフの話だったな。
 この二種族。
 立場的にはラフトフリートと同じ。
 ファレナに住んでいながら、自分たちのルールに従って生きる者たち。
 が、こっちはラフトフリートよりも国に関るとこがなく、勝手気ままに暮らしている。
 彼らの持つ特殊能力も、手助けしてもらえれば役に立つが、敵に回れば厄介。
 残す利益より不利益が上と思ったのか。
 はたまた、単に『異種族キライ。いらん』という理由だけだったのか。
 強襲することになったんだが。
 さて。
 ココに疑問が。
 ビーバーとドワーフ。
 どっちも異種族で、襲った理由も同じだと思うんだが・・・。
 その、方法に随分と差がある。

 ビーバーは焼き討ち。
 これは王子の到着が遅かったら、本当にビーバー族は全滅しかねなかった。

 が、ドワーフはどうか?というと。
 王子が到着した時点では、数人が襲われ騒然となっていた。
 ビーバー族と同じように、滅ぼそうとしていたのだったら、随分と消極的だ。
 やるなら、相手が警戒していないところに一気に大群を送り込み殲滅させる。
 シウスが、「幽世の門を使ったのは自分たちがやったと思わせないため。やり方が汚い」とか言っていたような気がするが。
 フ・・・・流石、EDでルクレティアに置いていかれるだけのことはありますなぁ?アンタ、軍師に向いてませんぜ?
 甘い。甘いなぁ。
 もしこの二種族の殲滅に自分が関っているように思わせたくないなら、もっとイイ方法があるじゃないか。
 例えば・・・。
 ビーバー族は河に住んでいるのだから、河上から烈身の秘薬を流す。
 その水を飲んだビーバー族は凶暴化して同士討ち。
 『ビーバーロッジで謎の疫病発生。現在調査中につき、一般人の立ち入り禁止』で証拠隠滅して終わり。
 ドワーフはもっと簡単。
 地上のドワーフキャンプの上で爆薬なり魔法なり使用。
 『ドワーフ族の無謀な採掘で大規模な落盤事故発生。生存者ナシ』で終わり。
 ・・・まぁ、本当に『自分がやったと思わせないようにしたい』なら、方法はいくらでもあるってことだ。
 つまり、幽世の門を使って直接的な行動に出ている部分で、別な意図も見え隠れしてくる。
 もし、シウスの言う通りのだというなら、マルスカールが馬鹿か、私が馬鹿か、どっちかだな。(笑)
 けれどこれが、ギゼルのやったことだとするなら、さらに別なモノが見えてくるんだが。
 まぁ、それは置いといて、次の目的に進む。



 『内戦』ってのは、早く片付けるに越したことはない。
 普通ならば。
 内戦というのは、国力を消耗する。
 特に、人の命。
 『富国強兵』が目的ならば、自国の兵を消費するだけの内戦は早く終わらせたいハズだ。
 だから、一番良かったのは城を奪った時点で王子とサイアリーズを始末すること。
 が、二人を逃がしてしまい、内戦となった時点で、ゴドウィンは王子と戦いつつ、もう一つの方向へも注意を払わなければならなくなった。
 それが、8年前にもファレナを奪おうとしたアーメス新王国。

 ■アーメスの打倒
 恐らく、今回の内戦が始まった時点で、アーメスは再び侵攻のタイミングを図っていたハズだ。
 先々代の継承争いで国力を消費し、建て直しもならぬまま、その女王が逝去した混乱にあるファレナに攻め入ってきた時のようにね。
 ここに、ビーバーロッジ焼き討ちとドワーフの殺害が絡んでいるのではないかと、私は思う。
 先ほども書いたように、本当に滅亡させようとするなら、もっと簡単な方法はある。
 ゴドウィンがやったと思わせたくないなら、もっと狡猾な方法をギゼルならやれたと思う。
 それをしなかったのは、なぜか。
 それは、バロウズの時と同じではないだろうか?
 つまり、バロウズと王子を組ませて、二つを同時に潰そうとしたように、
ビーバー&ドワーフを王子と組ませることで、さらにアーメスもこの三つと同時に潰そうとしたのではないか、ということ。
 一挙四得。


 ゴドウィンがやったビーバーとドワーフに対する攻撃は、結果としてこの二種族と王子を結びつけることにしかならない。
 ビーバーの方は、確かにヤバかったんだが、ドワーフの方はどう考えても、殲滅作戦としてはいまいち。
 例えば、「ドワーフを幽世の門に殺させ、その罪を王子たちに着せて二者を仲違いさせるのが目的」・・・という考えも出来ないことはないが、それだとあまりにも策としては
お粗末
 元々ドワーフは人間に干渉しようとしていなかったのだから、もっと干渉してこなくなるだけだ。
 ここは、「軽く突付いてやる気のないドワーフにも内戦に参加させ、同時に潰す」案がラクではないだろうか。
 で。
 ビーバー&ドワーフを王子の仲間にさせてどうなるかというと、「王子軍が手強くなり内戦が長引く」
 あれ?
 内戦って、早く終わらせたいんじゃないの?
 ここで、アーメスの登場。
 侵攻のタイミングを図っている敵国を、あえて内戦の中に入れることで、動きは読みやすくなる。
 内戦の混乱に乗じて攻められ、「王子軍」と「侵略者」同時に相手にすることになれば、兵を分散させなければならないが、アーメスをこの内戦に巻き込んでしまえばとりあえず集中して攻略できる。
 アーメスの兵を王子の軍にぶつけて両方の兵力を削りつつ、自分は時間稼ぎ。
 もちろん、『太陽の紋章』を解析するための。
 王子軍がビーバー&ドワーフと組んで強くなろうが、アーメスが王子軍を討って領土を奪おうが、最後には太陽の紋章で片付ける気だったので、関係ないのである。
 仮に、城を奪った時点で王子を始末出来ていれば、その時はアーメスと親交のあったバロウズを利用して潰したのかもね。



 と、ここまで進んだところで。
 だいたい、マルスカールの仕組んだ話の道筋は出来たかなーと思う。
 マルスカールが望んだのは『並ぶものなき力、磐石の秩序』。
 太陽の紋章による力で他国を圧倒し、国民の思想を統一させることで争いをなくす。
 継承争いで親友だった従兄弟・マルダースと愛する妻・ロザリンドを失ったマルスカールは、なぜ二人を失うことになってしまったのかと考えただろう。
 もし、王位継承権第一位のシャスレワールに、妹ファルズラームを圧倒する力があったなら。
 継承に異を唱えることを許さない、絶対の法があったなら。
 貴族に、王位に介入する権力がなかったとしたら。

 これは、現在の民主主義から考えると『正しくはない』。
 封建主義的なやり方だね。
 だからといって、間違っているとは言えない。
 


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